A1:
モニタリングステーションは、環境放射線の連続測定を行う施設です。 現在、浜岡原子力発電所周辺に14カ所設置しています。ここには、環境放射線の量を測定する測定装置などを設けています。
モニタリングステーション内の設置装置
-
放射線量測定装置
:
環境放射線の量を測定します。
-
感雨計
:
雨が降っているかどうかを監視します。
雨が降ると自然の放射線の量が増えるため、発電所の影響でないことを確認するために測定をします。
-
雨量計
:
雨の量を測定します。
-
ダストモニター
:
空気中に浮かんでいるチリを集め、その中に含まれる放射能を測定します。
-
テレメータ装置
:
測定したデータを自動的に環境放射線監視センターに無線で送ります。
環境放射線監視センターでは、これらのデータをコンピュータでいつも監視しています。
-
自家発電装置
:
停電した時にも測定ができるように発電をします。
-
大気モニタ
:
緊急時に空気中に浮かんでいるチリを集め、その中に含まれる放射能を測定します。
-
ヨウ素サンプラ
:
緊急時に空気中の放射性ヨウ素を専用のフィルターに補足します。
A2:
測定値がゼロを示さないのは、私たちが生活している環境には、自然の放射線があるためです。
自然放射線はその場所の地質や地形、気象条件などによって変動し、特に雨が降ると増えます。
ですから発電所の影響がなくても、いつも測定値はゼロになりません。
自然の放射線は、
- 地中にあるウランなどの自然の放射性物質によるもの
- 大気中に浮かんでいるラドンなどの自然の放射性物質によるもの
- 過去の核爆発実験によってもたらされ、地面に沈着したセシウムなどによるもの
- 宇宙から地球に降り注いでいる放射線(宇宙線)
- 建物の建築材料中に含まれている自然の放射性物質によるもの
などが考えられます。
また、放射線測定装置の材料にも自然の放射性物質が含まれていますので、その影響もあります。
A3:Q2でお答えしたとおり、 私たちの生活環境には、自然の放射線が存在しています。自然の放射線は、その場所の地質や地形、気象条件などによって変動しますので、モニタリングステーションごとに測定値が違ってきます。
A4:
放射線は物質に当たると、放射線がもっているエネルギーを物質に吸収され、放射線は無くなってしまいます。
物質がどれくらいの量のエネルギーを吸収したかを示す単位がGy(グレイ)です。これを吸収線量といいます。
吸収線量が非常に少ないとき、例えば0.000000001Gyなどと書くのは面倒です。そこで、接頭語を使って簡単に書くようにします。 n(ナノ)は接頭語の一つで、10億分の1を意味します。
ですから、0.000000001Gyを簡単に1nGyと書くことができます。
この接頭語は、放射線以外の距離や重さなどの単位にも使います。例えば、距離が1000m(メートル)の時、1km(キロメートル)と書きます。
(参考) 接頭語の種類
倍数 |
記号 |
読み |
1018 |
E |
exa |
エクサ |
1015 |
P |
peta |
ペタ |
1012 |
T |
tera |
テラ |
109 |
G |
giga |
ギガ |
106 |
M |
mega |
メガ |
103 |
k |
kilo |
キロ |
102 |
h |
hecto |
ヘクト |
101 |
da |
deca |
デカ |
倍数 |
記号 |
読み |
10-1 |
d |
deci |
デシ |
10-2 |
c |
centi |
センチ |
10-3 |
m |
milli |
ミリ |
10-6 |
μ |
micro |
マイクロ |
10-9 |
n |
nano |
ナノ |
10-12 |
p |
pico |
ピコ |
10-15 |
f |
femto |
フェムト |
10-18 |
a |
atto |
アット |
A5:Q2でお答えしたとおり、 私たちの生活環境には、自然の放射線が存在しています。
自然の放射線は、その場所の地質や地形、気象条件などによって変動しますので、 ある時刻の測定データだけを示しても、その測定データに問題があるのかどうか分かりません。 そこで、モニタリングステーション・ポストの過去5年間の測定データを平常の変動幅として示しています。この平常の変動幅に入っていれば問題はありません。 また、大きな自然環境の変化があって、変動幅を超えることも考えられますが、その場合には、その原因を直ちに調査することにしています。(変動幅を超えたことが即、発電所の影響があったということではありません。)
なお、最近設置したモニタリングステーション・ポストについては、他のモニタリングステーション・ポストの変動幅から推定して設定しています。
A6:モニタリングステーションでは、放射線の測定は連続して行っていますが、測定データはテレメータシステムで10分ごとに環境放射線監視センターに集めています。これを10分値といいます。
パソコンの画面では、通常、横軸に600個程度のデータしか表現できませんので、この10分値をグラフにすると4日分程度しか表現できません。 長期間の変化もお見せしたいので、10分値を6個平均して1時間値を作り、この1時間値のグラフを示しています。
1時間値は10分値の平均値ですから、全体の変化が小さく表現されてしまいます。
A7:テレメータは、英語で「Telemeter」と書きます。日本語に訳すと、「遠隔測定」となります。
つまり、遠く離れた場所でいろいろなデータを測定して、その測定データをセンターに自動的に集め、集計、統計処理、異常値の判定などをするシステムです。
大気汚染の監視システム、道路の交通量調査、河川の水位測定など広く利用されています。